『認知症』

長年一緒に暮らして来たワンちゃんの眼が、だんだん白くなり、耳も遠くなり・・やがて『認知症』と言われる、今までにない行動をしだします。
大事な動物さんが変わっていく姿を見るのは辛いし、誰もが認めたくないのですが、彼らの病気と同じように、私達は受け入れるしかないのですね・・。

今回は少しでも『認知症』の動物さんがいる方々のお役に立てたらと思って、認知症について書いてみました。

1)『認知症』の主な症状

  • 早い子は11歳頃からということだが、多くは13歳~15歳頃に認められる。
  • 目的もなく、ぐるぐる歩き回ったり、壁に向かってひたすら前進しようとする。
  • 昼夜逆転したり、夜寝ているかと思えばいきなり起き出して、吠え続ける。(これは吠える目的がない時もあれば、飼い主様が側にいなくて寂しくて吠えることもある。)
  • もともとおっとりさんだった子が、いろいろな事の我慢が出来なくなり、短気になったり、要求吠えをする。
  • 検査上問題はないのに、異常な食欲が出る。
2)認知症にならない為の工夫

◙ 人と同様、「刺激」が大事である。

ほったらかしにしていると、認知症になり易い。
なのでなるべく話しかける。また外へ出て刺激を与えたり、無理のない程度に適当な運動をさせる。

◙ 認知症に良い食品

  • 胡桃肉(クルミ)・・・(中医学では、こういうことを『同形相関』と言います。形の似ているものは、お互い関係があるという意味です。・・胡桃の形は脳に似てますよね?!だから脳に良いんですね。なので、私もあまり好きではなかったのですが、最近は認知症予防に意識して胡桃を食べるようにしています(笑)。)
  • イチョウ葉エキス、青い魚、EPA・DHAのサプリ、銀杏(少量)
3)家でできること

動物さんに上の様な刺激を与える他、ご自宅ではお灸がお勧めです!

◙ 先ずは百会(ひゃくえ)にお灸・・百会のツボは頭を上から見て両耳を結んだ頭頂部の真ん中になります。

ここに施灸(お灸をすることを施灸と言います)すると、身体全体が温かくなります。
これを“回陽作用”と言います。(※1なぜ温かくなるか、またなぜ“回陽作用”というかという事は、“次回のよもやま話”で書かせて頂きますね!ツボと経絡の話です。)

また、百会にお灸すると、精神を安定させます。
ただ、症状いかんによっては、お灸よりも針の場合が良い時もありますし、あまりにも嫌がるようでは逆にストレスになるので、その時はお灸する時間を短くするか、無理しないようにしてくださいね。

◙ その後、命門(めいもん;二番目と三番目の腰椎の間のツボです。)に施灸します。

歳を取ると腎虚と言って、腎の気が落ちます。
中医学でいう五行では、腎は骨と繋がっていると言われています。
それで歳を取れば取るほど、足腰、特に下半身が弱くなるんですね。歳を取ると人間も動物さん達もしっかりとした歩きが出来なくなってよぼよぼしますよね。
この「命門」またはそのすぐ隣の一対の「腎兪」のツボを施灸することによって、下半身がしっかりとしてきます。
施灸を一週間毎日または一日置き、多めにみて週に2回やってもらっている動物さん達は、やってもらってない子と比較すると、歩みもしっかりとしていて、毛艶も全然違います。
これはオーバーな言い方ではなくて、本当にそうなんです。

◙ 今は結構、身体に害のないサプリメントも出ていますし、漢方薬でも結構症状の緩和をさせることのできるもの(抑肝散、もしくはそれに準じたもの)もあります。

でも何よりも一番良いのは、焦らず「認知症はこういうもんだ。」と覚悟して頂いて、ご家族で協力しながら乗りこえて頂けたらと思います。
だって、長い間、本当に家族として私達を精神面で支えてくれた大事な動物さんなんですもんね(*^_^*)!

・・・ということで、長くなってそろそろ飽きてこられたんじゃないかな~と思いますので、今日はこの辺で終わりにしますね。
後は、思いつくままにそれらに関連したことを次回の「よもやま話」で書かせて頂きますので、お気が向かれましたらお読みくださいね~。


病院で使っているお灸~病院で使っているお灸~

左側の容器に入った4つのもぐさのお灸のうち下二つは、私が治療中に一番よく使うお灸です。もぐさを左手の指で形作って動物さんのツボに乗せてお灸します。

上2つは普通に薬局でも売っている「せんねん灸」です。
これらは動物さんの熱さに対する感度や性格、時間等で使い分けます。
右側上にある三本の棒状のものは、もぐさを棒状にしたお灸(棒灸)です。

ご自宅で施灸する時はこれを使って頂いてます。右側一番下は、上の棒灸を茶色い棒灸ストッパーに刺してセッティングしたものです。この棒灸に火をつけて、動物さんの体のツボに赤い布を置き、その上にこれを乗せます。5分~10分施灸します。
なぜ赤い布を使うかと言うと、赤は熱を通しやすい性質を持っていることと、遠赤外線効果もあるからです。

※2018年8月16日の「よもやま話」にも書きましたが、一番上の炭のお灸は時間経過とともにどんどん熱くなるのと、落ちた灰にも火が残っているので動物さんに火傷をさせないよう、十分注意して頂きたいと思います。


チョコ太ちゃんMさんちのチョコ太ちゃん

もうすぐ17歳になります。
5~6年ほど前から、腎疾患と椎間板ヘルニアの鍼灸治療をさせて頂いています。

腎疾患は、鍼灸とお家での「命門」(その隣の「腎兪」)の施灸と、Mさんのスープたっぷり手作りご飯で悪化することなく、ずっと良い状態を保っています。

最近めっきり足腰が弱って来ましたが、同じ歳のワンちゃんよりは、全然元気だと思います。
Mさん、ホント、頑張ってみえますよね!偉い!!・・因みにチョコ太ちゃんは、まだ認知症の症状は出ていません。悪しからず。

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