一獣医として、いろいろな思いがあり、これをコラムにしよう。あれもコラムにしようと思ったり、お役に立てる情報があったら「よもやま話」に書こうと思いつつ、つい忙しさに取り紛れて今日になってしまいました。
今日は、6年前に椎間板ヘルニアで下半身不随になった後、鍼灸で快復したダックスさん(Rちゃん)が、数日前から難治性の病気の為かなり苦しんだので、飼い主さまと話し合った結果、当院にて安楽死をさせて頂くことになりました。
私は、今日安楽死をしなくてはならないワンちゃんがいることは知っていましたが、それがRちゃんだ言うことを知らずに二階で他の仕事をしておりました。
安楽死が終わった直後、Rちゃんの飼い主さまが「6年前にうちの子がお世話になったから、院長にどうしても挨拶をしたい。」とおっしゃったので、ご挨拶に伺ったところ、あの時のRちゃんだと知って、とても驚きました。
歩けるようになった後、去年から急に具合が悪くなって他の獣医師が診せて頂いていたのですが、6年ぶりに触れたRちゃんは既に息を引き取ってましたので、言葉になりませんでした。
飼い主さまは、Rちゃんが病院に喜んで来てくれた様子や、出勤途中の多くの方からなでてもらった話などをされた後、「手の中で眠るように安らかに逝ってくれたから、本当に良かったです。生きていたら、また昨日みたいな激しい痙攣(けいれん)で苦しんでいるかも知れないと思うと、それはRの為にならないから・・・。この子には沢山癒してもらって、よう助けてもらったわ・・。」と涙ながらにおっしゃいました。
安楽死については、倫理的な問題としていろいろな考え方があり、簡単には語れないことだと思います。
そして、人間の都合だけで安楽死を希望されて、この世から亡くなってしまう動物たちも沢山いることだとも思います。
ただ、今回のように、飼い主さまからたくさんの愛をもらって、Rちゃんもたくさんの愛で応え、そしてRちゃんが苦しんでいるのなら、逢えなくなる辛さよりもRちゃんの状態を考えて、Rちゃんを愛するが故に選択する場合もあるのですね・・・。
私は、今回とても考えさせられました。
動物たちはどの飼い主様に飼われるかで、その子の幸不幸が決まります。
去年亡くなった我が家のケン(ミニチュアダックス・16歳で死亡、)については、三人の息子たちに「ケンが死ぬときに、うちに来て本当に良かったな~・・・!!」とこの子が思ってくれるように、いっぱい可愛がってあげようね!」と何度も言って来ました。(そういう私こそ仕事に追われ、ケンとの時間をなかなか取れなかったのですが・・。)
皆様の動物たちもそう思って最期を迎えてくれるよう、たくさん、たくさん愛をあげて欲しいと思います。
Rちゃんのご冥福を心からお祈りしております。
この度、この話を掲載させて頂く事に、ご快諾して下さったRちゃんの飼い主さまに心より感謝しております。