30年ほど臨床をしてきて、いろんな動物や飼い主さんを観てきました。
当院に来られる「飼い主さんと動物の関係」・・希薄な関係性もあれば、動物種の違いを乗り越えた深い絆で結ばれている関係性もたくさんありました。
仕事を通していろんな事を感じましたが、その中でも特に一つ、言えることがあります。
それは「家庭に一頭でも二頭でも、家族としての動物がいると、そこのお子さんの心が育まれる。優しい人に育つ。」ということです。
自分よりも弱くて守ってあげたい存在の家族がいることで、優しい心が育ちます。
以前伝染病で重症の子犬が入院していた時、小学生の娘さんが、「学校があるからお見舞いにいけないから。」と、手作りのお守りをお父さんにことづけたり、またある時は、慢性病の猫ちゃんが急変したので当院に運ばれて来たのですが、既にその猫ちゃんはお母さんの手の中で亡くなっていました。
一緒にいたお子さんとお母さんがその場で号泣された姿は、今でも忘れることが出来ません。
その猫ちゃんは、お子さんが赤ちゃんの時からずっと一緒だったんですよね・・。
大事な家族である動物を亡くすことは、誰だって悲しいです。
その動物が生きている間、私達はその子のお世話をしてるようで、実はたくさんの愛をその動物たちからもらっているのですよね・・。
また、本のタイトルは忘れましたが、以前読んだ本にすごく感動した事が載ってました。
極悪な犯罪を犯した少年達が入るアメリカのある少年院では、彼らが社会復帰する為に犬達の力を借りるそうです。
一人に一頭、犬を与えられ(恐らく元捨て犬)少年達は自分の担当した犬を育てるんです。
自分が居ないとその犬は生きられない事を感じ、そして犬に愛を注ぎ、犬からも愛をもらって(愛のエネルギーの交換)どんどん少年達は変わっていくんだそうです。
そうしていくうちに、少年達は立ち直り、そこの少年院を出所した少年達の再犯率は、かなり低いそうなんですね!
本当に動物達の力は本当に凄いですね〜。
動物がいる事で、子供の心が育つ。
本当にそう思います。
後は、当たり前の事ですが、動物達には感情もありますので、その感情を大事にしながら、一頭一頭天寿を全うするまで、大事に育てて貰えたらと思います。
もえちゃんは、ご家族からとても大事にされています。
クッシング症候群は調子が良かったので、治療間隔を空けていたのですが、最近子宮蓄膿症になり、お母さんはお忙しい中、もえちゃんの為に週一で治療しに来てくれています。
数年前にお口に腫瘍ができて、手術や辛い治療を乗り越えたマロちゃん。
さらに喉に腫瘍ができたので当院に通院してくれました。
マロちゃんは一生懸命なお母さんの気持ちに応えるように、最後まで元気でご飯も食べて、頑張ってくれました。
マロちゃんの肉体はなくなってしまいましたが、いつも大好きなお母さんを見守ってくれている事だと思います。