『揺れた心』

前回コラムで『学校動物飼育支援委員会』の活動の『ふれあい教室』について書きましたが、私が4年間この活動のお手伝いをさせて頂いているのも、子供達の喜ぶ顔が見たいのと、委員会の前田先生達のお考えに賛同したからでした。

4年前に初めてお手伝いした時、前田先生にこの活動についての質問をぶつけさせて頂きました。

「①なぜ兎じゃないとダメなのか?!
兎はとても神経質な生き物だから、子供達に抱かせると凄いストレスになるから、可哀想ではないのか?!
②日本には殺されそうな犬や猫が沢山いる。人間のことが大好きな犬や猫を保護センターから連れてきて、学校で飼うわけにはいかないのか? その方が双方にとって良いのではないか?!」と。

すると前田先生はこう仰いました。
「確かに兎は神経質な生き物だよね! だけど動物に一度も触れたことのない子供もいたりするんだよね! そういう子からすると、犬猫は怖かったりするのね。
兎さんだと抱いた時の感触や大きさなど、子供達が恐怖を覚えるようなところがないから、そういう意味では兎さんの方がいいんだよね。
それと、僕達の活動は、二つの意味があるんだよね!
一つは子供達に兎と触れる体験を通して、命の大切さを知ってもらう事。
そしてもう一つは、戦後何十年もの間、文部省の方針で教育の一環として、兎と鶏を学校で飼う事になってるんだけど、兎にとって、とてもいい環境とは思えない学校もあったりするんだよね!
そこで僕達が『ふれあい学級』を通して学校と関わらせてもらった時に、兎達がどういう環境で飼われているかを見せてもらうことが出来るから、その時にもし改善点があるようなら、獣医として学校の先生方に助言させてもらって、兎達がいい環境で暮らせるように持っていくのがもう一つの目的なんだよね!」と。

その前田先生のお言葉をお聞きして、「よっしゃ!」と思って、あれから4年間納得した上でこの活動に関わってきました。
そして実際『学校動物支援委員会』の先生方は、ご自身の時間を割いて、この目標を遂行する為にいつも頑張ってらっしゃいます。

ですが、今年の1月にローレン・マッコール先生の『アニマルコミュニケーションセミナー』を受講した際にお逢いした通訳の山崎恵子先生が「あの活動は、本当に兎にとって迷惑な話だから、絶対やめて欲しい!!」と仰るのを聞いて、「確かにそうだよね〜。」と少しグラグラっと来てしまいました。

そして、この5月の『ふれあい学級の準備会』でも、私と同じお手伝いの立場のある獣医師が「獣医師会は動物を守る立場にいるはずなのに、なんでこんな兎にとって可哀想な活動をするのか?!」と委員会の皆さんに疑問をぶつけている場面もありました。

その時、前田先生や杉本先生が上に書いた事(私に答えて下さった事)を仰った後で、「我々も兎の事を考えたら、学校で飼われること自体賛成ではないんです。でもこれは文部省が決めた事であり、我々ではどうする事も出来ない。だから少しでも獣医の立場を利用して、兎達の為に出来る事をしよう!という事で始めた事なんですね! 『ふれあい学級』では、少し兎には我慢してもらう事になりますが、そういう理由から始まって今があるんです。」と仰いました。

・・・と言う事で、一時揺れた私の心も一応納得しながら、今回もお手伝いをさせて頂きました。
学校自体、「教師の手間が増えるから、学校飼育動物を飼うのを止めよう」と言う流れの学校もある中で、この先兎達はどうなるのか?!
学校から兎達が消えて、個人の家だけで大切にされるのなら、本当にそれに越した事はありません。
ただ、子供達が兎に触れる機会はなくなりますが・・。

でも、今後も学校で兎を飼うと言うこの教育が続くようであるのなら、「学校の兎達が少しでも幸せだと感じることのできる環境で飼ってもらえたらなぁ〜!」と、長年学校の兎を治療させて頂いた獣医の1人として、願って止みません。
弱い立場の兎達も、兎達を毎日見る子供達も、みんなが笑顔でいられるよう、祈っています^_^✨、

今日はいつも以上に長いコラムになってしまいました。
最後までお付き合い下さいまして、ありがとうございました。


『ふれあい学級』の準備会5月14日(日)
『ふれあい学級』の準備会。

『学校動物飼育支援委員会』の先生方と私のようにお手伝いさせて頂く獣医が集まって、どこの小学校に誰が行くのか等を決める会議をします。

いつも3時間ほど掛かります。

大井小学校大井小学校の飼育動物担当の先生に飼育小屋を案内して頂きました。

去年も綺麗でしたが、今年は去年以上にとてもきれいになっていて、前田先生もビックリされていました。

毎日ご多忙でしょうに、こうして兎や子供達の為に綺麗にして下さっている飼育動物担当の先生に感謝です!!

去年ももちゃんから産まれた男の子の兎さん去年ももちゃんから産まれた男の子の兎さん。

飼育係の子供達が摘んでくれたたっぷりの草を美味しそうに食べていました。

兎のももちゃんお母さん兎のももちゃん(右)とその子供。

兎は穴を掘って生活していますが、大井小学校では穴の代わりにU字のブロックを置いて、兎達が隠れる事が出来るようにと工夫されていました。

水出先生前日の練習の後の水出先生♡

遠隔治療(テレセラピー)の発表の時も名古屋西校の授業の時も、私の為にパワポを作ってくれて練習にも付き合ってくれる水出先生。

メカに弱くて頼りない私をいつもサポートしてくれます。マジに感謝ですm(__)m。

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